04 第48帖「早蕨」
「早蕨」は宇治十帖の4、源氏物語第48帖にあたります。中の君は父と姉を相次いで亡くし、悲しんでいました。その後、匂宮の二条院に迎えられ、幸せな日々を送っていました。薫は、中の君のもとを訪れますが、その様子をみた匂宮は二人の仲を疑いはじめます。
早蕨
さわらび
- この春は 誰にか見せむ 亡き人の 形見に摘める 嶺の早蕨 -
再び春、薫は25歳になっています。
宇治の八の宮の山荘でさびしく暮らす中の君のもとに、例年通り、父の法の師だった宇治山の阿闍梨から蕨や土筆が届けられ、中の君はその心づくしに感謝するとともに
「この春は 誰にか見せむ 亡き人の 形見に摘める 嶺の早蕨」
と歌を詠み、姉や父を偲んでいました。
一方、匂宮は二月上旬、いよいよ中の君を京の二条院に迎える決心をし、後見人の薫がその準備にあれこれと心を配っていました。
上京の前日、薫は宇治の中の君のもとを訪れて語り合いましたが、匂宮のもとへ嫁ぐ中の君を今さらながら惜しいと感じ、後悔するのでした。
その後、二条院に迎えられた中の君は匂宮の愛情を受け、幸せな日々を過ごすことができていました。そんな中、桜のころ、薫は二条院を訪れて、中の君と語り合いました。しかし、その様子を知った匂宮は、二人の関係を疑うようになります。
さわらびの道
早蕨の古跡沿いの散策道は「さわらびの道」といわれています。観光客が特に行きかう道で、他にもお土産屋さんや總角の古跡、源氏物語ミュージアムなどがあります。
場所は何度か変わったそうですが、現在は宇治上神社の北側の散策道沿いにあります。石碑が二本立っています。
こちらの石碑は、次の写真に示す石碑と違って、宇治十帖古跡である十か所すべてにあったわけではありませんでした。
こちらの細長い形の石碑は、宇治十帖古跡の十か所すべてにありました。この早蕨の古跡にはふたつともそろってあります。