02 第46帖「椎本」
"At the Foot of the Oak-Tree" 「椎本」は、宇治十帖の2、源氏物語第46帖にあたります。八の宮は、死後の姫君たちの後見を薫に託しますが、一方で姫君たちには、軽々しく結婚して宇治を離れてはいけないと遺言を残して死んでしまいました。そんな中、匂宮は中の君を慕いつつ、薫の方は大君を慕っており、ある日、その思いを大君に打ち明けます。しかし、大君は、父である八の宮の遺言を頑なに守りつつ、薫を受け入れようとはしないのでした。
椎本 "At the Foot of the Oak-Tree"
しいがもと
- 立ち寄らむ 陰とたのみし 椎が本 むなしき床に なりにけるかな -
匂宮は、初瀬詣の帰りに宇治の夕霧の別荘に立ち寄りました。それというのも、薫から聞いた八の宮の姫君たちのことが気になったからです。そこで、薫たちも交えての管弦の遊びを催しました。その響きは、宇治川を挟んで対岸にある八の宮邸にも響いてきて、八の宮は昔の宮中での生活を思い出さずにはいられなくなるのでした。
そんなある日、死期を悟った八の宮は、姫君たちの死後の後見を薫に託します。一方で、姫君たちには、軽々しく結婚して宇治を出ることはならぬと戒めたのでした。
その直後、山寺に参詣した八の宮はそこで病に倒れ、死んでしまいました。
悲しむ姫君たちのために、薫は心をこめて法事の世話をするのでした。そんな薫の誠意に、姫君たちは心から感謝します。
そんな中、薫の大君への思いは募っていくばかりです。その年の暮れ、宇治を訪れた薫は、匂宮の中の君に対する思いを大君に話しつつ、自分も大君に心を寄せていることを打ち明けますが、大君の方は八の宮の遺言を頑なに守って宇治を出ようとはしませんでした。
匂宮は、中の君のことが気になって、夕霧の養女である六の君との縁談には気が進みません。薫の方も大君を諦めきれずにいます。
翌年の夏、久しぶりに宇治を訪れた薫は、喪服姿の大君を見て、その美しさにますます心を惹かれてゆくのでした。
宇治十帖古跡|椎本
彼方神社
宇治橋東詰めからしばらく進んだところにある彼方神社。源氏物語第46帖「椎本」の舞台とされています。
彼方神社と呼ばれる前は、椎本神社と呼ばれていました。式内社。椎本の古跡は、彼方神社(おちかたじんじゃ)という小さな神社にあります。
彼方神社の祭神は諏訪明神です。非常に小さな神社です。彼方神社と呼ばれる前は、椎本神社と呼ばれていました。
彼方神社の鳥居には、この地が椎本の古跡であることを記した碑文が刻まれています。